ここではそんな佐藤が見たり読んだりし心に残った内容などをご紹介します。 |
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ここではそんな佐藤が見たり読んだりし心に残った内容などをご紹介します。 |
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『泣ける』の宣伝文句につられて「半落ち」を梅田の映画館まで見に行きました。映画は封切りされて3週間程経っていたのに殆ど満席状態で最前列しか空席がなかった。子供の頃、最前列で見たことはあるけれど、昔の映画館にはスクリーンの前にステージがあったので、画面までは距離があった。この映画館は画面まで2m程。下から画面を見上げるように≠ネってしまう為、人は足が大きく、頭が小さく透かしのかかったような画面になってしまった。映画の台詞「魂がなくなると人間ではなくなるのですか?」「あなたは誰の為に生きているの?」「人間の尊厳死」などの言葉を聞いていて、その朝読んだ森鴎外の「高瀬舟」を思い出している自分がいました。 弟殺しの罪人喜助は島流しの刑により高瀬舟に乗せられて大阪に向かう舟の中。喜助は罪人なのにその顔は晴れやかで目には微かな輝きがある、役人は不思議に思った。役人は喜助に話しかける、生きる為にひどい苦しみを味わった喜助には欲がないこと、足りる事を知っていた。「どうせ治らない病気だから早く死んで少しでも兄に楽をさせてやりたい」と咽を剃刀で切って、死にきれずにいる弟。その弟を楽にしてやる兄喜助。昔も、これからも起こるであろう善悪では計りきれないテーマ。自分ならどうするのだろうかと、もしも僕が刑事だったら、もしも喜助だったら、もしも弟だったらとこの映画と本から考えてしまいました。 |
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1幕末の東北山形庄内地方の武士、武士だけれど小役人といわれる武士の清兵衛。たそがれ時になると同僚の付き合いもせず家へと急ぐために、仲間より “たそがれ清兵衛”とさげすまれて呼ばれている。50石とりの清兵衛の妻は貧しさゆえに夫に出世をせよとせまり、それをあまり望まない夫への不満がつのり労咳で死んでしまう。清兵衛は2人の娘と年老いてぼけていく母と4人で暮らしている。それでも清兵衛は、2人の女の子の日々変わっていく成長を見て何よりの喜びとしている。『…でがんす』と東北弁で話す主役の武士などは映画で初めてみました。この映画の監督山田洋次さんは70才。映画の監督さんは頭を使う以上に体力もいると思うのにこの監督は今までとっていなかった時代劇に挑んだ。挑む姿勢だけでもすごいのに見事に山田流の時代劇を作って見せてくれた。黒沢明監督は強者が弱者を救うというか守るという姿勢であったように思うのに山田洋次さんは弱者でありながら弱者の強さが感じられた。でもなんといっても時代劇、殺陣(タテ)のシーンをあの山田洋次さんは撮れるのだろうかと思って見ていたけれど迫力あるシーンに仕上がっている。主役の真田さんの体の中よりにじみでている、武士の風格、真田さんが体の小さいというのもこの映画ではプラスになっている。迫力のあるすきのない殺陣シーンになっていた。一度見てほしい映画です。中で「武士のはしくれでがんす」が「イラストレーターのはしくれでがんす」と聞こえた。20
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監督・制作・脚本:ジャン=ジャック・アノー |
1942年第2次世界大戦中のドイツとソ連のスターリングラード戦について描かれた作品。スターリングラードの地をどうしても死守しようとするロシアとどうしても侵略しようとするドイツのヒットラー。主人公ヴァシリはロシアで子供の頃より狩りで銃が上手かった為に狙撃兵となる。自分もいつ殺されるか分からない戦場、今日生きていれた事の喜び。恋人との会話で「皆死ぬ覚悟だからこうして生きて戻れるのはボーナスだ、だから一杯の紅茶やシガレットも格別の喜びになる」という台詞がある。明日は当然来るものと思っているボクは今日一日生きていれた喜びを噛み締めると、もっと一日をありがたく大切に出来ると思うのでが・・・・・。僕が若い頃、貧しく汚い小さな部屋で一生懸命働いているけど、どうにもならない時もし親がお金持ちで援助があれば何とかなるのに、世の中は不公平だと、生まれた時に差があり不平等だと思った時期があった。その頃、「みんな平等、皆平等に賃金がもらえる社会を築きたい」という共産主義の思想を素晴らしいと思った。あんなに憧れていた共産主義国ソ連が何十年か経って崩壊するなんて。人間は悲しいけれど一生懸命働いている人と適当に働いている人の報酬が同じとなると働かなくなる。人の上に立ったような気になって民衆の為といいながら自分だけが利益をむさぼる人。映画でもキャリア組が人を兵を物のように使い捨てる許されない姿。共に認め合って生きる形はないものかと、この映画を見ていて思った。
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中国 |
中国の貧しい貧しい田舎の村の学校。たったひとりの先生カオがお母さんが病気になってしまい看病の為に1ヶ月休職することになる。村長がその間の代理として連れてきた先生は生徒と年令が変わらない13才の小さな女の子だった。ふくれっ面で小生意気だけど変に真面目なウェイ先生。カオ先生はウェイに1日1本のチョーク26本を渡し「文字はロバの糞ぐらいの大きさで黒板に書く事、生徒の人数を減らさない事」減らさなければ村長(ちょっと矢沢永吉に似ている)から150元、カオ先生から10元もらう約束をする。生徒の中でも一番生意気なチャン、その子が家族を救う為に町へ働きに行く。でもチャンは仕事がなくホームレス状態になり物乞いをしていた。ウェイ先生はそのチャンを探しに町へ行く。貧しい子供たちとウェイ先生がだんだんと繋がっていく。ウェイ先生が走っている姿に思わず涙が出た・・・チャンのなんともいえない顔。子供たちとウェイ先生は本当に演技なのだろうかと思うぐらい自然でいい映画でした。
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THE CIDER HOUSE RULES |
「マイライフ・アズ・アドック」や「ギルバートブレイク」の監督ラッセ・ハルストム。レンタルビデオ屋さんでこの監督ならよさそうだと思い借りました。「僕は誰かにとって必要な人になりたい」セントクラウズという孤児院で生まれたホーマーの物語。孤児院の子供たちとラーチ先生、人間が幸せになる為には当事者が本当に必要なルールを作らなければならない。これがこの映画のテーマのように思います。孤児院に養子を探す夫婦が訪れると子供たちは可愛い印象を与えようと最高の笑顔をつくる、人に愛されたいというあの子供たちの笑顔。ラーチ先生は子供たちに本を読んであげ、寝る前に「メイン州の王子」「ニューイングランドの王」と言う、このことばの奥にある子供たちへの愛。ホーマー役のトビー・マッガイアも素晴らしかった。そして「どんな人生でも人の役に立て」というラーチ先生のことば。 空き缶や段ボールを拾い集めている人たちの方が人の役に立っている、僕は何か人の役に立っているのだろうかと思う。ぜひ見てほしい映画です。 |
著者:乙川優三郎 |
25才の頃、腫瘍をとる手術をした。悪性かどうかの検査に1週間かかり悪性だったらリンパを取る手術をすると言われた。この手術でも辛かったのに・・・僕はどうなるんだと思いつつ病院から2日目の帰り痛む傷口をかばいながら本屋に立寄った。手にとった本の裏表紙に「生きるとは」という文字を見て買って読んだその本が山本周五郎さんの「長い坂」でした。自分の人生を考えさせてくれる一冊でした。それから山本周五郎さんの本を次から次に読んでいました。最近、山本周五郎賞に輝いた乙川優三郎さんの「五年の梅」を読み同じような共感を得ました。この作品の底辺に流れるものが好きです。「五年の梅」は5編の作品よりなっています。貧しい人間や窮地に陥った人たちが追い詰められ最後のギリギリのところで生きる希望を取り戻しかすかな光を見出し、もう一度生き直してみようとする人たちの姿です。とても良かったです。ありがとうございます乙川さん。追伸:腫瘍は悪性ではありませんでした。
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著者:中村桂子/三田誠広/工藤直子/松原哲明/佐治晴夫/西本鶏介 |
今「まどみちお」さんの詩に惹かれています。その中で一番好きなのは『つけもののおもし』です。 『つけもののおもし』 つけものの おもしは あれは なに してるんだ あそんでるようで はたらいてるようで おこってるようで わらってるようで すわってるようで ねころんでるようで ねぼけてるようで りきんでるようで こっちむきのようで あっちむきのようで おじいのようで おばあのようで つけものの おもしは あれは なんだ 大事なことをしているように見えない「何をじっーとしているんや」と思われたり見たところ意味のないよう にも見えるけれど、本当に意味がないのだろうか?ひとつの方向より見て決めつけないで、いろんな角度より 考えてみたい。存在していることには意味があるのではとすべての事について考えてみたいと思う。 |
著者:梅原猛 |
ドフトエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」より、神を信じる人と無神論社の人のこと。文字では知っていたけれどはっきりとしていなかった仏教の言葉、大乗仏教・小乗仏教のこと。「精進」のところでこつこつ努力すること、人が見ていなくても努力することとゲーテの言葉を引用して「天才というのは努力する才能である」と天才というのは人一倍努力出来る才能があるという言葉で納得し、努力しない人は一時成功しても必ずダメになるという言葉に益々納得した。四つの徳の最後に忍辱(はずかしめを耐える)がある。人間生きていれば死にたいと思うことが必ずある。その時に忍んで辱めに耐えることも大事だと。聖徳太子の言葉「和をもつと貴しとなす」いまひとつ意味が解らなかったが、この本で『和があれば、つまり皆が互いに信用していれば に議論出来る。議論出来れば必ず正しい意見が用いられ世の中は良くなる』スプーンをつくる前に勤めていた会社の社長より薦められた本、面白くて解りやすい本だった。
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作:ダニエル・キイス |
チャーリーはこう言っている「知能は人間に与えられた最高資質のひとつですよ。しかし知能を求める心が愛情を求める心を排除してしまうことがあまりにも多いんです」と。最近いろんな所で起こるキャリア組の不祥事。知能が高いということも大切かもしれない、しかし他人に対する思いやりを持つということはもっと大切だと思う。 |